一般社団法人あびら観光協会

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安平町の特産品「アサヒメロン」を商品化 〜道の駅オリジナルの商品開発〜

2025.06.26

【安平町の特産品「アサヒメロン」とは】

安平町は、旧追分町と旧早来町が合併して平成18年にできた町です。「道の駅あびらD51ステーション(以下、道の駅)」があるのは旧追分町にあり、安平町の特産品となっている赤肉の「アサヒメロン」の栽培が行われています。



昭和39年に3つの農家によって作付けが開始され、旧追分町旭地区で生産していたため、ブランド名を「アサヒメロン」とし、栽培をスタートしました。

かつては、町内にアサヒメロンを生産する「アサヒメロン生産組合(昭和45年発足)」とアサヒメロンの姉妹品として生産していた「追分メロン」を生産する「追分メロン生産組合(昭和51年発足)」の2つの組合が存在していました。昭和56年、両組合が統合し「追分町アサヒメロン組合」となり、令和6年時点で27組によって生産されています。全国的に減少傾向にある生産者ですが、アサヒメロンについては年々増加しているとのことです。



生産が始まった当初は「夕張キング」(のちに「札幌キング」に改名)という品種でしたが、消費動向の変化等で平成18年に終了。現在は「ルピアレッド」「ティアラ」「レッド113」の3品種を栽培し、収穫時期をずらしているため、長い期間にわたり、生産・販売が可能となります。



アサヒメロンは道内で最も早く市場に出荷されるメロンで、糖度が14度以上、ネットの張りが美しいなどの条件をクリアしたもののみ「アサヒメロン」として認められます。5月上旬頃から10月中旬頃にわたって収穫を行い、冬の寒い時期から育苗をスタート。育苗した苗をビニールハウスに定植してから収穫できるまではおよそ3か月。果実の温度が低く、糖度が高い早朝に収穫して選果場へ運び、検査で出荷の可否、「秀」「優」「良」と3段階のランクに分けられたあと、札幌の市場へと運ばれます。

例年、道の駅の農産物直売所「ベジステ」では、6月下旬頃から販売。これまで、メロン果実の販売のみ行っていましたが、道の駅オリジナル商品としてアサヒメロンを使った商品ができないかと今回新しい試みにチャレンジしました。

【商品化への想い】 

アサヒメロンを使った商品を開発するきっかけとなったのは、当協会事務局次長(道の駅あびらD51ステーション支配人兼務)の「もっとアサヒメロンを多くの人に知ってほしい、買ってほしい、食べてほしい」という思いがきっかけでした。

当協会では、グリーンツーリズム事業を安平町から受託して「あびらベジナビ」を開催しています。そのプログラムの一つ「畑さんぽ メロン畑編」で生産者と接する機会が多かったことがその思いをより強くしたそう。

「令和3年4月に入社した当時、アサヒメロンは加工品で使用するような、いわゆるB級品と呼ばれるようなものは存在しないため、商品開発は困難であると聞いていました。



当協会で行っている「あびらベジナビ」のプログラム「畑さんぽ メロン畑編」は、アサヒメロンの生産農家さんにご協力いただき、実際に栽培を行っている畑に伺うだけでなく、直接お話が聞けるということで、毎年募集開始とともに定員に達し、その人気ぶりに驚いていました。また、道の駅内にある農産物直売所(ベジステ)では、アサヒメロンの販売開始を心待ちにされている方が多く、毎年多くの方にご購入いただいています。

このように、アサヒメロンの人気や魅力を肌で感じていくにつれ、商品開発を実現できたらという思いが強くなっていきました」

まずは、追分アサヒメロン組合の組合長、JAとまこまい広域農業協同組合(以下、JAとまこまい広域農協)の支所長、担当課長、考査役に商品開発への思いを伝え、商品化についてご相談をさせていただくことからスタート。



商品化にはいくつかのハードルがありましたが、その一つがアサヒメロンの価格。商品に使用する果汁を搾取するためにはたくさんの果実が必要となり、正規品のメロンのみを使用するため、仕入れ額が高額になってしまいます。

少しでも金額を抑えるため、上から「秀」「優」「良」と3段階あるランクのうち「良」のみの使用を検討。そして、安平町が行っている道の駅の「商品開発事業補助金」を申請。該当と判断していただき、補助金の給付を受けることができました。

「正規品のアサヒメロンを使用するのであれば、商品開発に問題はなく、名称・ロゴとも使用して問題ない」とJAとまこまい広域農協よりご了承いただき、当協会の決裁を経て、令和6年度に商品開発に着手できることとなりました。

【新たな特産品開発への道のり】

まずは商品の原料となる果汁加工から進めていくことに。令和6年9月、アサヒメロンを正式に注文し、新十津川農産物加工センターへ。こちらで皮むき、種取り、果汁加工までの作業を依頼し、令和7年4月に冷凍果汁が納品されました。



道の駅のテイクアウトコーナーで販売しているソフトクリームは、期間限定のカボチャやロイシーコーン、カンロなど、町内産の野菜や果物を用いたものが特に人気です。アサヒメロンを商品化するにあたり、ソフトクリームは外せないと、まずはテイクアウトコーナーの統括マネージャーがソフトクリームの試作をスタート。



ソフトクリームのベースとなるミックスとメロン果汁の割合を幾度となく調整。アサヒメロンの美味しさだけでなく、北海道生乳の風味もしっかり感じられるような味わいに。



お土産に買っていただけるお菓子として、ラングドシャも開発を進め、株式会社エスポワール(旭川市)に製造を依頼しました。

両商品とも試作・試食を重ね、商品化の目処がたったため、商品開発のご協力をいただいたJAとまこまい広域農協、追分アサヒメロン組合、新十津川農産物加工センター、安平町役場の方を対象とした試食会を令和7年5月中旬に開催。率直なご意見をいただく貴重な機会ということで、当協会スタッフ一同、緊張の面持ちで耳を傾けます。



参加者からは「アサヒメロンの味がしっかり感じられた」「甘すぎなくて食べやすい」「想像以上のおいしさだった」など高評価をいただくことができました。

追分アサヒメロン組合の組合長は「とてもおいしかった。アサヒメロンを知らなかった方たちにその存在だけでなくおいしさも届けられるのでは。これからも新しい商品を開発し、アサヒメロンそのものを食べるきっかけにもなってほしい」と話してくださいました。

今回の商品化は、たくさんの方に当協会の熱意を受け止め、ご協力いただいたおかげで実現することができました。改めまして心より感謝を申し上げます。



アサヒメロンを使った商品は、ラングドシャが6月21日から、7月1日からソフトクリーム、メロンクリームパンが販売開始となりました。新たな試みとなる、アサヒメロンを使った道の駅あびらD51ステーションのオリジナル商品をぜひお試しください。